導入実績と活用事例

110番非常通報装置は金融機関を中心に導入が進められ、現在ではほとんどの金融機関で設置・活用されています。金融機関以外(幼稚園・保育所・学校、障害者支援施設・高齢者施設、病院、高速道路料金所、鉄道駅、バス会社、市区役所等の官公署、電気・ガス・水道等のライフライン施設、博物館・美術館、ホテル等)への導入も増えています。

特に平成28年(2016年)7月に発生した神奈川県相模原市の障害者支援施設における殺人等事件を契機に、防犯対策の重要性とその手段としての110番非常通報装置の有効性が改めて認識されるようになりました。これを機に、当協会では障害者支援施設のみならず、高齢者施設、女性・少年保護施設及び保育所・学校等の社会的弱者関連施設における110番非常通報装置の普及を積極的に推進しており、事件以降、これら施設の新規の設置数は2,300台を超えています。

令和5年12月末現在、当協会が支援している施設の110番非常通報装置の設置台数は約32,950台です。うち、金融機関以外の施設の設置数は約6,500台で、全体の約20%になります。

活用事例

事業所(施設)の110番非常通報装置が効果的に活用され、被害の拡大を防ぎ、犯人も早期に検挙された事例等を紹介します。

(金融機関)

事例1

 令和5年5月19日(金)午後2時15分ころ、香川県下のK郵便局に犯人(63歳・無職の男)が局内に侵入、カウンターの外にいた女性局員に包丁を突きつけて「金を出せ。強盗や」などと脅し、現金5万円を奪って車で逃走した。局員が直ちに110番通報ボタンを押下し、外に出て逃走車両の車両ナンバーを確認した。非常通報で警察官が急行し、車両ナンバーなどをもとに捜査していたところ、現場近くの自宅にいた犯人を発見、約1時間後に強盗罪で緊急逮捕した。

事例2

 令和5年6月1日(木)午後2時30分ころ、岡山県下のC銀行K支店に犯人(36歳・無職の男)が客を装い正面入り口から侵入し、カウンター越しに窓口の女性行員に包丁を突きつけ現金を奪おうとした。その状況を見ていた他の行員が直ちに110番通報ボタンを押下し、非常通報で急行した警察官が犯人を銃刀法違反で現行犯逮捕した。

事例3

 令和5年10月11日(水)午前10時40分ころ、愛媛県下のH信用金庫S支店に犯人(81歳・職業不詳の男)が両替の依頼を装い窓口を訪れ、カウンター越しに女性職員にカッターナイフを突きつけて「銀行強盗です」などと脅した。他の職員が110番通報ボタンを押下し、非常通報で急行した警察官が店内で犯人を強盗未遂罪で現行犯逮捕した。

事例4

 令和5年12月1日(金)午前10時40分ころ、岐阜県下のM銀行T支店に犯人(54歳・無職の男)が行内に侵入すると、カウンター越しに窓口の女性行員に拳銃様のものを突きつけて「金を出せ」などと脅した。犯人は、すぐに警備員に取り押さえられ、複数の行員が110番通報ボタンを押下し、非常通報で急行した警察官が行内で犯人を強盗未遂罪で現行犯逮捕した。

事例5

 令和6年3月12日(火)午後0時40分ころ、都内、M銀行K支店に犯人(57歳・会社員の男)が、行内に侵入すると、ロビーにいた案内係の男性行員の背後から拳銃ようのものを突きつけ「金を出せ。5億円出せ」と脅した。この様子を見ていた女性行員がとっさに強盗を直観し、インカム(無線通信機)で合言葉を使い全行員に知らせ、110番通報ボタンを押下した。事務室から出てきた男性課長が犯人に声をかけたところ、「5億円出せ」と脅したので「わかりました。少々時間がかかります」と答えた。非常通報で警察官が急行し行内で犯人を強盗未遂罪で現行犯逮捕した。

(金融機関以外)

事例1

 令和5年3月31日(金)午後1時45分ころ、群馬県下のE村役場において、犯人(43歳・無職の男)が職員の説明に不満を持ち、興奮して、職員の胸ぐらをつかむなどの暴行を加えたことから、危険を感じた別の職員が110番通報ボタンを押下した。非常通報で警察官が急行し、犯人を公務執行妨害罪で現行犯逮捕した。

事例2

 令和5年4月6日(木)午後10時20分ころ、宮城県下のG鉄道駅において、犯人(30歳位の男)が、改札駅員ともめて腕を振り回し駅員に当たったため、危険を感じた駅員が110番通報ボタンを押下した。その後、犯人は、追いかけてきた駅員に対して、ホーム上で首付近を殴るなど暴行を加えた。非常通報で警察官が急行し、犯人を暴行罪で現行犯逮捕した。

事例3

 令和5年5月11日(木)午前9時45分ころ、福岡県下のH幼稚園において、行為者(40歳代・無職の男)が、登園時間帯のため門扉近くにいた女性教員に対し、「開けて」などと叫びながら門扉によじ登ろうとしたため、同教員が事務室に連絡、事務室の監視カメラでその様子を確認した職員が危険を感じ110番通報ボタンを押下した。非常通報で警察官が急行し、行為者を保護した。

事例4

 令和5年7月15日(土)午後10時30分ころ、岐阜県下の老人ホームにおいて、入所している行為者(80歳代の男)が、手にはさみを持って暴れ出し、職員等が取り押さえようとしたが、収まらなかったことから、危険を感じた職員が110番通報ボタンを押下した。通報で急行した警察官が行為者を保護した。

事例5

 令和5年7月17日(月)午後7時45分ころ、三重県下の病院において、犯人(55歳・無職の男)が、診察中に病院の対応に腹を立て、カバンから包丁を取り出し主治医に見せたことから、危険を感じた職員が110番通報ボタンを押下した。非常通報で警察官が急行し、犯人を銃刀法違反で現行犯逮捕した。

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